夜更けには、和菓子を。

静かに、ししおどしの音が響き渡る、京の町。
夜。空は晴れ、三日月が、京の町を照らしている。
部屋を出る。街へ出る。
其処には、色々な人間が居て、色々な顔がある。
私には、こんなにも当たり前のことが、
愛しい。
悩める貴方の考え事も、羨ましい。
月は、もう既に雲に隠れていた。
東の空から、少しずつ、段々、明るくなっている。
愛しい。
目に映る京の街が、京の景色が、
美しい。

どうやら、私の命は、そう長くないようだ。
笑顔で貴方に告げたのに、貴方は笑顔を失くしていた。
どうやら、私の命は、そう長くないようだ。
私が、今迄に、手に取ったもの。
私が、今迄に、手に入れたもの。
私が、今迄に、手に入ったもの。
金平糖を手に取り、口へ放り込む。
貴方にも差し出すが、貴方はそれを拒む。
甘いものは好きではなかったのだろうか。

どうやら、私の命は、そう長くないようだ。
京の街に、夜更けを映して。
どうやら、私の命は、そう長くないようだ。
夜更けには、和菓子を。

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